書籍
発刊 2021.03
過去の判例でわかる実は契約社会といえる日本
『アメリカ人が驚く日本法』
樋口 範雄 著 | 商事法務 | 220p | 2,400円(税別)
Contents

契約の章1.永代供養の契約
契約の章2.レコード会社の準専属契約
契約の章3.愛人への贈与契約
契約の章4.生命保険契約と自殺
契約の章5.川島説とその現代的意義
契約の章6.ザルーム氏の講演とその現代性
不法行為の章1.人間国宝がフグ毒にあたった事件
不法行為の章2.ヘア・カット事件――髪を切りすぎると不法行為
不法行為の章3.PTSDになったと主張する交通事故被害者
不法行為の章4.輸血を拒否する患者
不法行為の章5.医療過誤訴訟に関する3つの論文――そのうちの2つ
不法行為の章6.医療過誤訴訟――ラムザイヤー教授の論文
不法行為の章7.製造物責任訴訟

Introduction
日本の法律(日本法)は明治時代にドイツ法やフランス法の影響のもと整備された。だが、法そのものや訴訟などにおける法の適用や解釈について、日本独自の文化や慣習、常識が反映され、たとえば訴訟社会、契約社会に生きるアメリカ人の目には奇異に映るケースもあるようだ。どんな違いがあるのだろうか。
本書では、アメリカで出版された日本法のケースブック(ロー・スクールの授業などで使用される判例教材)に掲載された判例の中から「契約」「不法行為」に関するものを紹介。アメリカ法やその適用や解釈との違い、アメリカの法律家が驚くポイントなどについて論じている。日本は、アメリカほど契約社会、訴訟社会ではないと思われているが、過去の判例からは、むしろアメリカよりも契約を重んじ、裁判に頼る傾向が見えてくるという。著者は武蔵野大学法学部特任教授、東京大学名誉教授。医事法、信託法、高齢者法などを専門とする。著書に『アメリカ高齢者法』『アメリカ不法行為法』『アメリカ契約法』(いずれも弘文堂)などがある。