コロナ禍で先行きが不透明になり、ことさらに「不確実な時代」を実感する人もいるのではないか。しかし、当たり前の日常や常識が失われつつある現代だからこそ、思い込みに縛られない発想ができるのかもしれない。そのヒントになるのが、宇宙というもっとも不確かな空間を研究対象とする「ロケット科学者」の思考だ。
本書では、かつてNASAの火星プロジェクトで活躍した著者が、自身の経験、他分野を含むさまざまな研究成果や事例を紹介しながら、ビジネスにも応用が効く「ロケット科学的思考法」を紹介。知らず知らずに習慣化された「見えないルール」、慣れ親しんだ問題解決の「戦術」やツールを一歩引いて見直し、そもそもの目的達成の「戦略」に立ち返ることで、これまでにないブレイクスルーの可能性が見えてくる。重要なのは、違うレンズを通して物事を眺め、問題解決の出発点となる「質問(問い)」を変えることだという。著者はイスタンブール生まれで、渡米しコーネル大学で天体物理学を専攻、ロケット科学者としてNASA火星探査車プロジェクトのオペレーション・チームに参加の後、ルイス・アンド・クラーク・カレッジ法学教授となる。作家、ポッドキャスト・ホストとしても活躍している。