

携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」や家庭用ゲーム機「プレイステーション」など、ユニークな商品で世界的ブランドを築いたソニー。一方、商品自体にブランドのロゴはつかないものの、いまや基幹事業の一つに育っているのが、半導体だ。一時は売却も検討された「問題事業本部」は、なぜ成功したのか。

本書は、品質問題で赤字に陥り、「お荷物」と見なされていたソニーの半導体事業が、いかにしてピンチを乗り切り、収益の柱になったかを追っている。背景には、歴代経営トップの判断や、理解ある責任者の存在、気骨ある技術者の努力、また、「技術上の困難はむしろ歓迎」し、困難なチャレンジに対しては「反対しても潰さない」という、ソニーの伝統があったという。著者は、元ソニー執行役EVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)・CSO(最高戦略責任者)。1976年に同社に入社後、総合企画室、経営戦略部門などを経て、2001年にエレクトロニクスHQエレクトロニクスCFO(最高財務責任者)。業務執行役員コーポレート戦略担当、半導体事業グループ副本部長などを歴任した。2015年に退任。