

スウェーデンは、他の北欧の国々とともに世界でもトップクラスの高福祉国として知られ、超高齢化社会を迎えた日本のモデルとして注目されている。また同国には、高水準の教育・医療、短時間に効率よく生産性を上げる「働き方」など、先進国家のイメージがある。しかし、これらのイメージは正しいのだろうか?

本書では、欧州で10年以上暮らし、スウェーデンの現地企業に勤務する著者が、多くの日本人が抱くスウェーデンのイメージを覆す「真の姿」を明らかにしている。スウェーデンの福祉は、医療費の個人負担に上限を設けるなど、たしかに手厚い制度を設けているものの、実際には専門医にかかるのに長期間待たされる、民間の診療所の医療費が高額といった、運用上の多くの問題を抱えている。またスウェーデンでは、一部の富裕一族が富を独占しており、実際には格差社会なのだという。著者は、オーストラリア留学を経てIT企業で数年間勤務後、スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンへ転職。2007年よりドイツ・デュッセルドルフ勤務。2012年よりスウェーデンで勤務し現在システムマネージャーとして5G開発に従事する。