書籍
発刊 2020.12
ファクトから未来を予測する「知の巨人」の思考
『エマニュエル・トッドの思考地図』
エマニュエル・トッド 著 | 大野 舞 | 筑摩書房 | 240p | 1,500円(税別)
Contents

序.思考の出発点
1.入力 脳をデータバンク化せよ
2.対象 社会とは人間である
3.創造 着想は事実から生まれる
4.視点 ルーティンの外に出る
5.分析 現実をどう切り取るか
6.出力 書くことと話すこと
7.倫理 批判にどう対峙するか
8.未来 予測とは芸術的な行為である

Introduction
日本でも人気の高い「知の巨人」の一人に、フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏がいる。ソ連崩壊、リーマンショック、英国のEU離脱など数々の予測を鋭く的中させ、アフターコロナの世界についても発言を続ける同氏は、どのように「思考」を深め、研究成果を上げているのだろうか。
本書では、エマニュエル・トッド氏が、歴史やデータを精緻に分析し、時代の趨勢を見きわめ、その先を見通す自身の思考や研究手法を明らかにしている。トッド氏の思考は、フランス流の合理主義ではなく、英国流の経験主義に軸足を置く、事実(ファクト)を重視したものだ。歴史的事実や統計データ、地図を眺めることから意外なつながりを発見し、統計学などを駆使して検証していく。そうした発見をしやすくするには、自らが所属する社会の「外側」に出ることが重要だという。エマニュエル・トッド氏は1951年生まれ。パリ政治学院修了、ケンブリッジ大学歴史学博士。家族制度や識字率、出生率などにもとづく、現代政治や国際社会の独自の視点からの分析で知られる。