新書・文庫
発刊 2020.12
世論調査から核融合まで使われる「乱数」の効用
『でたらめの科学』
サイコロから量子コンピューターまで
勝田 敏彦 著 | 朝日新聞出版(朝日新書) | 224p | 790円(税別)
Contents

1.でたらめをつくる
2.でたらめをつかう
3.でたらめの未来

Introduction
数学や統計学、物理学などの分野では「でたらめ」な数字の並び、すなわち「乱数」が重要な役割を果たしている。身近なところでは、世論調査の対象者の無作為抽出、広告キャンペーンで抽選に使われるランダムな文字列などに乱数が使われる。真に無規則な乱数を生成するのには、さまざまな方法が試されてきた。
本書は、「乱数」理論の変遷に始まり、世論調査や工業製品の抜き取り検査から核融合までの多彩な応用、将来の展望まで幅広く取材した科学ルポ。ランダムな乱数を生成するのにもっとも単純な方法はサイコロやルーレットだが、大量の乱数が必要な場面では限界がある。そのために、いろいろな装置が開発され「乱数表」が作られた。現代ではコンピューターのプログラムも使われるが、それによって作られる乱数は、究極的には、何らかの規則性を持ってしまうために「擬似乱数」と呼ばれる。著者は、朝日新聞東京本社科学医療部次長。京都大学大学院工学研究科数理工学専攻修了。朝日新聞社で、週刊朝日編集部、東京・大阪の旧科学部、米CNN派遣、アメリカ総局員、メディアラボ室長補佐、ソーシャルメディアエディターなどを経て現職。