トランプ米大統領による保護主義政策、英国のEU離脱などに象徴される「反グローバル化」の動きが、コロナ禍により勢いを増している。確かにグローバル化には、国内の格差拡大、経済ショックや感染症の「飛び火」といったデメリットはある。だが、それらを上回るメリットがあるのではないだろうか。
本書では、グローバル化による「よそ者とのつながり」をより進めることが人々の幸福につながると主張し、各種データやネットワーク経済学の成果をもとに、その根拠を論じている。そして、グローバル化のもたらすマイナス面への解決策を示すことで、「反グローバル化」の主張に反論する。知識を共有し、イノベーションにつなげていくとともに、リスクに備えるには、「仲間うちとの強い絆」と「よそ者とのつながり」を併せ持った多様なネットワークが必要なのだという。著者は、早稲田大学政治経済学術院経済学研究科教授。国際経済学、開発経済学、ネットワーク科学の分野で、経済の発展や強靭性に資する実証研究を行っている。