新書・文庫
発刊 2020.11
コロナ対応で見えた「知事」のリーダーシップ
『知事の真贋』
片山 善博 著 | 文藝春秋(文春新書) | 232p | 800円(税別)
Contents

1.知事たちの虚を突いた感染症
2.法的根拠を欠いた知事の自粛要請
3.各都道府県知事の閻魔帳
4.問われる全国知事会の役割
5.東京都政と大阪府政を診る
6.ポストコロナ時代の首長と議会

Introduction
新型コロナウイルスの対策にあたっては、毎日、都道府県別の感染者数が発表され、その人数が多い時などには、たいてい「知事」が記者会見を開く。これは、国内の具体的な感染症対応が、国ではなく都道府県単位で行われるからだ。そのためコロナ禍は、各々の「知事の実力」を知る機会になったともいえる。
本書では、元鳥取県知事の片山善博氏が、新型コロナウイルス感染症対策に際しての各知事の言動や考え方に焦点を当て、他の範とすべき対応や、反省すべき対応などを取り上げ、自身の知事経験を踏まえながら、あるべき知事の姿を探っている。知事は、法的根拠に基づかない政府からの通知などを、そのまま受け入れるのではなく、地域のために「何をしなければならないか」を判断し、行動しなければならない。本書では、とくに優れたリーダーシップを発揮した知事の例として、和歌山県の仁坂吉伸知事を取り上げている。著者の片山氏は現在、早稲田大学公共経営大学院教授。自治省(現総務省)職員を経て1999年から鳥取県知事を2期務める。2010年9月から11年9月まで総務大臣。17年4月より現職。