新書・文庫
発刊 2020.11
「しゃべるAI」が明らかにする人間の言葉の本質
『ヒトの言葉 機械の言葉』
「人工知能と話す」以前の言語学
川添 愛 著 | KADOKAWA(角川新書) | 256p | 900円(税別)
Contents

1.機械の言葉の現状
2.言葉の意味とは何なのか
3.文法と言語習得に関する謎
4.コミュニケーションを可能にするもの
5.機械の言葉とどう向き合うか

Introduction
SiriやAlexaといった音声アシスタントや、Pepperなどの人型ロボットは人の言葉を聞き取って応答する。だが、それらに搭載されたAIは、人間と同じように言葉を理解した上で話をしているわけではない。人間の言葉の持つ曖昧さや、状況に応じてさまざまな意図を伝えるという側面が、AIにとっては難しいからだ。
本書では、AIが人間の言葉を話す仕組みを紹介した上で、「人間が言葉を理解するとはどういうことか」「そもそも言葉の意味とは何か」といったテーマを、日常的な実例や言語学などの研究成果を引きながら論じている。コミュニケーションにおいて相手の「意図」を理解するには、状況や関係性を瞬時に判断しつつ、言外の意味まで考慮に入れなければならないが、人間はそれを無意識のうちに行っている。AIが人間と同じようにそれを行い、スムーズに会話ができるようになるまでには長い時間がかかるという。なぜなのだろうか? 著者は、九州大学などで言語学を専攻し、博士号を取得。津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授などを経て、言語学や情報科学をテーマに著作活動を行っている。