

企業などの組織が長く繁栄していくには、持続的にイノベーションを起こし続ける必要がある。そのためには、絶え間なく新しい「知識」を生み出し、それを組織全体に広げ、知識を行動に変えていかなければならないのだろう。そのように知識創造を知識実践に結びつける方法論は、どのようなものなのか。

1995年に発表された経営学の世界的名著『知識創造企業』の続編でもある本書では、著者らが長年にわたり収集した企業事例をもとに、「知識」を生み出してそれを広め、実践に結びつける独自の理論「SECI(セキ)モデル」の最新型を提示。組織を持続的に発展させる「ワイズリーダー」と、ワイズリーダーに率いられた「ワイズカンパニー」のあり方を論じている。自転車部品や釣具などを製造するメーカー「シマノ」、大手製薬会社「エーザイ」などでは、SECIモデルを何度も繰り返し、スパイラル状に知識ベースを広げていく「SECIスパイラル」を実践している。著者の野中郁次郎氏は一橋大学名誉教授で、知識創造理論を世界に広めたナレッジマネジメントの権威。竹内弘高氏は、ハーバード大学経営大学院教授、一橋大学名誉教授で、2019年より国際基督教大学理事長を兼務。なお、本書は2019年に英語で発表された書籍の日本語版である。