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発刊 アメリカ 2020.10
設立20周年のウィキペディアはなぜ画期的なのか
『ウィキペディアの20年を語る』
Wikipedia @ 20: Stories of an Incomplete Revolution
| Joseph Reagle, Jackie Koerner 編 | The MIT Press | 376p
Contents

序.接続性
1.振り返り
2.接続
3.ビジョン
4.頂点

Introduction
世界最大のオンライン百科事典「ウィキペディア」は、2021年1月に設立20周年を迎える。2020年11月22日現在で314言語のウィキペディアが存在し、総記事数は約5500万、記事に転送されるものも含む総項目数は約2億2600にも及ぶ。この20年間でウィキペディアは、社会にどんなインパクトを与えたのだろうか。
未邦訳の米国書籍である本書は、研究者のほか、教師、司書、ジャーナリスト、活動家などによる、ウィキペディアに関する論考集。ウィキペディアの記事は、年齢、職業、国籍に関係なく、専門家でなくても匿名で作成、公開、編集が可能だ。しかし、その内容は利用者のコミュニティによってチェックされ、出典が明記されていなかったり、虚偽やあいまいな内容は議論の対象となり、デマ情報は排除される仕組みだ。本書の著者の一人は、ウィキペディアは資本主義経済を構成する主要な要素を含んでおらず、新しい社会の協働システムの可能性を示唆するものだと論じている。編者のジョセフ・リーグル氏は米国ノースイースタン大学准教授でコミュニケーション学を専門とする。ジャッキー・コーナー氏はオンラインコミュニティの品質調査を行うアナリストで、ウィキペディアコミュニティでコミュニティヘルスコンサルタントとして活躍している。