ビジネスや日常生活で「書くこと」が求められる場面は多い。報告書やメールの他、聞いたことや読んだことの要点をメモしたり、スピーチの前に話すことを簡単にまとめたりと、コミュニケーションや思考のための「ツール」として「書く」こともある。その際、効果的に「書く」にはどうすればいいのだろうか。
1986年に初版が刊行され、教育界で「実践の書」として読み継がれてきた本書では、「書写」「作文」という従来の小学校における国語科教育で行われてきた「書く」教育以外の「書くこと」を、「第三の書く」と名付け、その新しい教育実践を論じている。「第三の書く」とは、具体的には、「深く読む」ための「メモ」「書込み」「書足し」「書きまとめ」「書替え」などを指し、読解力や思考力、表現力を同時に高めるものだ。とくに「書替え」では、読み手から書き手へ視点を移動させる手法が紹介されており、ビジネスパーソンの発想力や文章表現力を鍛えるヒントにもなるだろう。著者の青木幹勇(1908-2001)は、国語教師として、宮崎県師範学校、東京高等師範学校、東京教育大学等の附属小学校及び文教大学に勤務。1953年より25年間にわたりNHK「ラジオ国語教室」放送を担当した。