新書・文庫
発刊 2020.10
なぜ国産OS・TRONはIoTの世界標準になれたのか
『イノベーションはいかに起こすか』
AI・IoT時代の社会革新
坂村 健 著 | NHK出版(NHK出版新書) | 232p | 800円(税別)
Contents

1.なぜ日本からはイノベーションが生まれないのか?
2.「文・芸・理」融合人材が日本を救う
3.TRONはなぜ世界標準になれたのか?
4.ケーススタディ イノベーションはいかに起こし得るか?
5.いまこそ「変われる国・日本」へ

Introduction
近年、テクノロジートレンドの一つとして「IoT」が注目されている。機器同士がインターネットでつながり、連携・協働するシステムであり、スマート家電の他、物流や自動運転などにも使われる。そのIoTの実質世界標準に採択されたOSは、日本人研究者の坂村健氏が主宰する「TRONプロジェクト」から生まれた。
本書では、1980年代から機器に組み込むオペレーティング・システム(OS)であるTRONの開発に携わり、世界に先駆けてIoTのコンセプトを提唱した坂村健氏が、自身の研究者としての来歴を辿りながら、現在の日本でイノベーションを起こすためのヒントを提供している。坂村氏が「TRONプロジェクト」から一貫して追求しているのは「オープン」と「連携」。同氏は、それらを踏まえたイノベーションを起こせる人材を育てるべく、これまでの日本の大学にはない新しい教育を実践している。著者は、コンピュータ・アーキテクチャー(電脳建築学)を専攻する研究者で、東京大学名誉教授。1984年からTRONプロジェクトのリーダーとして、まったく新しい概念によるコンピュータ体系を構築して世界の注目を集める。2017年より東洋大学に新設された情報連携学部(INIAD)の学部長を務めている。