海外書籍・雑誌
発刊 イギリス 2020.10
化石の歴史に見る「かたち+物語」の強さとは
『化石と伝説』
中国の「龍の歯」、北欧の「サンダーストーン」等の意味を探る
Dragon’s Teeth and Thunderstones: The Quest for the Meaning of Fossils
Contents

1.時代を超越する魅力
2.語り継がれるストーリー
3.大発見
4.石器を装飾する
5.心を満たす
6.魂を救う
7.身を守る
8.体を癒す
9.闇の部分
10.時の悪ふざけ

Introduction
アンモナイトなどで一般にも馴染みの深い「化石」は、考古学や古生物学の重要な資料だ。だが、「生物の死骸」というその正体が判明する17世紀より前までは、化石は世界各地で神話や伝説、民話と関連づけられ、お守りや装飾品として所持されるなど、神秘的な意味づけがなされていたようだ。
未邦訳の英国書籍である本書は、人類と「化石」との関わり方、とくに神話や伝説との関係を、先史時代まで遡りながら探る。美しく、かつ不思議な形態や模様の化石は、装飾品やお守りの他にも、装身具、道具、薬など、さまざまな用いられ方をしてきた。そんな化石について本書は、中国に伝わる「龍の歯」や、デンマークを中心に広がる「サンダーストーン(雷石)」などにまつわる物語を紹介することで、太古の昔からの人類による豊かな発想やイマジネーションを伝えている。著者のケン・マクナマラ氏は、ケンブリッジ大学ダウニングカレッジ名誉フェロー(地球科学)で、同大学セジウィック地球科学博物館の元館長。とくにオーストラリアにおける化石の探索と研究に従事している。