書籍
発刊 2020.08
不安な時代だからこそ問いたい「人間とは何か」
『改訂新版 人間 この未知なるもの』
Man, the Unknown(1935)
アレキシス・カレル 著 | 渡部 昇一 訳・解説 江藤 裕之 編 | 三笠書房 | 352p | 1,800円(税別)
Contents

1.人間とは何か――その多様な資質の未来
2.「人間の科学」――知識の分析から総合へ
3.行動する身体と生理的活動
4.「精神」――その力の解明の歴史
5.人生の密度と「内なる時間」
6.変化と適応の構造
7.「知的個人」の確立
8.人間再興の条件

Introduction
現代の科学文明は「人間」が作り出したものであり、あらゆる社会問題は人間が引き起こしたものである。しかし、さまざまな学問分野は発達したものの、私たちは人間について、本当に理解しているのだろうか。第二次世界大戦前夜に、あるフランスの医師がこの疑問に挑み、世界的ベストセラーを生み出した。
本書は1912年のノーベル生理学・医学賞受賞者であるアレキシス・カレル(1873-1944)が1935年に発表した、「人間とは何か」を総合的に論じた名著の改訂新版。医学・生物学・生理学の知見をもとに人間の「身体」の構造、外界への適応などを述べながら、「精神」についても哲学や心理学の観点から考察。科学や工業文明が人間の幸福に貢献しているのか、教育や社会づくりをどのように進めていくべきか、などを問いかける本書は、出版数年にして18カ国で翻訳され発行部数は1000万部を超えたという。著者はフランス生まれの外科医・解剖学者・生物学者。シカゴ大学、ロックフェラー医学研究所などに在籍し、血管縫合、臓器移植に関する研究で知られる。