

近年、数字やデータによるドライな分析だけでなく、人間同士の「共感」をベースとした企業経営が注目されている。マイクロソフトのサティア・ナディラCEOも、「共感の経営」「共感のリーダーシップ」を唱え、V字回復を達成した。では、日本企業がめざすべき「共感経営」とは、どんなものなのか。

本書では、日本企業による「共感経営」の成功事例を、野中郁次郎氏の「知識創造理論」をはじめとする諸理論をもとに分析、イノベーションや組織運営に「共感」をいかに用いるかを論じている。イノベーションを生み出すには、客観的な分析を主にするのではなく、顧客や、組織のトップやメンバー、あるいはモノなどに「共振・共感・共鳴」し、そこから「本質」を直観する。そして、そこから、常識や習慣とは異質の「跳ぶ仮説」を発想しつつ、組織の中で「本質」を共有していくことが重要なのだという。著者の野中郁次郎氏は一橋大学名誉教授。富士電機製造勤務を経て、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D取得。『知略の本質』(日本経済新聞出版)、『ワイズカンパニー』(東洋経済新報社)など多数の共著書がある。勝見明氏はジャーナリストで、経済・経営分野を中心に執筆。