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発刊 マレーシア 2018.08
利益より寄付を重んじるマレーシア実業家の哲学
『“利益を追わない”実業家 タン・カイヒーの哲学』
Tan Kai Hee: Soaring Without Fear and Regrets
Contents

1.青年の大志と勇気を形作ったトラブルの続く時期と絶望の日々
2.大志を持つ青年、社会主義に向けて努力する
3.新しい挑戦に伴う自由と帳尻を合わせるためのもがき
4.ハイオー伝説を作るための一貫した努力
5.ハイオーの秘密:より与えてより得る
6.中国がもたらした機会に乗る 母国で文化的なブランドを構築
7.全ての人の平等の下に、人間志向でいる
8.利益の分かち合いとハイオーのマーケティング
9.妥協なき誠実さと正義 どんな辛辣な言葉にも屈しないこと
10.全ての富を寄付する
11.模範的な儒教的ビジネスマン
12.父親のように息子のように 魂を受け継ぐハイオーの継承者
13.ハリウッド映画を凌ぐ真実の愛 逆境も繁栄も分かち合う
14.忍耐強さは報われる
15.正直でいてくれる面倒見のいい友人
16.人種を超えた生涯に亘る友情

Introduction
時価総額10億ドルを超すマレーシアの健康食品・ヘルスケア企業に「ハイオー・エンタープライズ」がある。反体制の社会主義運動を主導し収監されていたタン・カイヒー氏が1975年に創設した企業だ。成長企業の経営者としては珍しく、同氏は利益よりも寄付などの社会貢献を重視している。
未邦訳のマレーシア書籍である本書は、ハイオー(海鴎)・エンタープライズ」の創業者兼会長、マレーシア・中国友好協会事務総長などを務め、フォーブス誌の「アジアのトップ・フィランソロピスト(慈善家)」の一人に選ばれた華人(中国系移民の子孫)実業家、タン・カイヒー(陳凱希)氏の評伝。社会主義の国政政党・マラヤ労働党で政治活動を主導していたタン氏は、当局によって8年1カ月もの間収容所に拘束される。釈放後、旧友からの紹介で就いた健康食品の商社の管理職から独立し、ハイオーを起業。中国から輸入した漢方食品を薄利多売方式で販売し、成功をつかむことになる。著者はマレーシアのジャーナリストで、Kanyin Publicationsのチーフ・エディター兼プロフェッショナル・ライター。ビジネス誌の編集長を10年間務め、多数の単行本の出版に携わっている。