書籍
発刊 2020.06
地球的課題に対応する「世界政府」は実現可能か
『フューチャー・ネーション』
国家をアップデートせよ
ハッサン・ダムルジ 著 | 土方 奈美 | NewsPicksパブリッシング | 326p | 2,100円(税別)
Contents

「withコロナ時代」を切り拓くフューチャー・ネーション
 ――日本の読者のみなさんへ
Introduction グローバリズムをアップデートせよ
1.グローバリストとナショナリスト
2.誰も排除しない ――第1の原則
3.ミッションを定め、敵を見きわめる ――第2の原則
4.国民国家を守る ――第3の原則
5.移民の自由化にはこだわらない ――第4の原則
6.勝者のタダ乗りを許さない ――第5の原則
7.システムを支えるルールを公平に ――第6の原則
8.フューチャー・ネーションへ

Introduction
米国がWHOなどの国際機関脱退を通知するなど、コロナ禍を機にますますナショナリズムが先鋭化しつつあるという指摘も見られる。だが、感染症拡大や気候変動といった一国では解決の難しい問題には、本来国際協調が欠かせないはずだ。われわれには、もっと強力な「世界政府」が望まれるのかもしれない。
本書では、地球上のすべての人間を包み込む「グローバル国家」を「フューチャー・ネーション」と名づけ、その実現可能性を探っている。ここでいうグローバル国家は、国民国家の枠組みを撤廃するのではなく、現存の国家や各々の言語・文化、国民および民族のアイデンティティを保持したまま、さらにグローバル市民としてのアイデンティティを付与するために、フェアな共通のルールとミッションを定めるというものだ。人類には、これまでにも小さな地域ごとのコミュニティを国家という共通の枠組みに統合してきた歴史があり、そのプロセスにならい、グローバルなフューチャー・ネーションを形成するのは不可能ではない、と説く。著者は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団副ディレクター。同財団のグローバルポリシー&アドボカシー部門(中東・パキスタン・日本・韓国)を率いる。専門はコーポレートマネジメント、国際開発、教育改革。