新書・文庫
発刊 2020.04
1200年余の伝統を持つとされる四国遍路の魅力
『四国遍路の世界』
Contents

1.四国八十八ヶ所の成立(川岡 勉)
2.四国遍路と古典文学(西 耕生)
3.江戸時代の遍路日記に見る四国(胡 光)
4.江戸時代の遍路統制(井上 淳)
5.道標石から見た四国遍路(今村 賢司)
6.四国遍路と女人禁制(森 正康)
7.四国遍路と明治維新(中川 未来)
8.弘法大師空海と四国遍路開創伝承(大本 敬久)
9.納経帳・般若心経・白衣(寺内 浩)
10.俳句・文学から見る近現代の四国遍路(青木 亮人)
11.四国遍路と外国人(モートン 常慈)
12.現代における四国遍路の諸様相(竹川 郁雄)
13.アジアの巡礼(高橋 弘臣)
14.イスラームの巡礼(安田 慎)
15.ヨーロッパの巡礼(山川 廣司)

Introduction
日本全国には由緒ある神社仏閣が散在しており、観光スポットとして平時には多くの人が訪れる。その中でも宗教色が強く、なおかつポピュラーなものの一つに「四国遍路(四国八十八ヶ所霊場巡り)」がある。地元民による「お接待」など地域との結びつきも強い四国遍路にはどのような歴史があるのだろうか。
本書では、近年、年齢層や目的が多様化し、ブームにもなっている「四国遍路」にスポットを当て、四国八十八ヶ所成立の由来や歴史、現在の様相、文学との関わりや海外の巡礼との比較など、さまざまな視点から読み解いている。四国遍路とは、四国一円に広がる弘法大師空海ゆかりの88寺院(札所)を巡る全長1,400キロメートルにも及ぶ巡礼。現代では、信仰や供養以外の目的によるお遍路も多くなっているものの、「お接待」による地域住民とのつながりの伝統は保たれているようだ。編者の愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センターは、2015年4月に発足。四国遍路の歴史と現代の実態を学際的に解明するとともに、国際比較研究を行っている。なお、ダイジェストでは全15講のうち、愛媛大学教授で日本中世史を専門とする川岡勉氏による第1講と、愛媛大学教授で社会学(社会病理学・社会意識論)を専門とする竹川郁雄氏による第12講を取り上げた。