

現代の中国には、日本における知名度は低いものの、ある特定の製品・サービス分野で世界トップクラスの新興企業がある。家庭用エアコンで世界最大級の生産台数を誇る「グリー電器」もその一つだ。1991年に前身の2社が統合して成立し、瞬く間に業界トップ企業に成長。その立役者の一人が董明珠氏である。

本書は、2012年にグリー電器(珠海格力電器股份有限公司)の董事長兼総裁となった女性リーダー、董明珠(ドン・ミンジュ)氏にスポットを当て、数々のエピソードとともに同社を急成長させたその手腕と戦略に迫る。暗黙のルールや利権がはびこりがちな中国のビジネス界にあって、董明珠氏は反発にあいながらも「原則」を外さない姿勢を貫いた。そして、販売業者たちとの連携体制を整えるとともに、製品の品質管理を徹底して、消費者の信頼を獲得した。著者は、中国の有名企業を深く洞察した、経営者などの長編人物伝を20冊以上上梓している伝記作家。中国作家協会会員。